藤子不二雄の『T・Pぼん』のあらすじは?大人こそ感動するSF作品。

『T・P(タイムパトロール)ぼん』のアイキャッチ画像 アニメ
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

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みんな助けりゃいいんだ!
パイヨミです。

アニメ『T・Pぼん』の第1シーズン、全話鑑賞させていただきました。

子供の頃によく『ドラえもん』を観ていたので、あの絵柄が目に入るとつい見始めてましたね。

劇場版は大人になってからもわりと見返してますが……。

作品は違えど、やっぱり藤子不二雄節は変わらず素敵で、どこか哀愁のようなものが感じられました。

非常に面白かったので、レビューしていきたいと思います。

それでは、どうぞ。

『T・Pぼん』とは

『T・Pぼん』は1978年から1986年に藤本弘(藤子・F・不二雄)が単独執筆したSF漫画です。

主人公の並平なみひら凡たちタイムパトロールが歴史上に起きた出来事の中に入り込み、不幸にもその中で命を落とした者をあの手この手で救い出すお話です。

藤子・F・不二雄の生誕90周年記念として、2024年5月2日からNETFLIXシリーズにて『T・P(タイムパトロール)ぼん』の第1シーズンが配信されました。

タイムパトロールって、ドラえもんにも何度か出てきてますよね。こっち側の話があるなんて、アニメ化されるまで知らなかった。

実は1989年に一度テレビアニメ特番として放送されたようですが、その際はいくつかのエピソードを繋ぎ合わせたアニメオリジナルのもので、執筆された物語を各話ごとに構成したのは今回が初めてみたいです。

原作の漫画は第1部から第3部までとなっていて、今回のアニメ第1シーズンは原作の第1部にあたる並平凡とリーム・ストリームの活躍を描いた物語となります。

あらすじ
平凡な中学生、並平なみひら凡。彼はある日クライメイトの白石鉄男宅を訪れていたが、ふざけてもみ合った弾みで鉄男がベランダから転落死してしまう。
取り乱す凡はその時に思いがけずタイムトラベルを経験し、鉄男の死はなかったことに。
ひと安心した凡だったが、それはT・P隊員の少女、リーム・ストリームのうっかりミスで、本来彼の記憶は消去されるはずだった。
秘密を知ってしまった彼はT・Pによって存在を抹消されそうになるものの、彼が将来の歴史にかかわる人物であることが判明し、仕方なくT・Pは彼を隊員に引き込むことで秘密の漏洩を防いだ。
ひょんなことから見習い隊員となった凡は、先輩の正隊員リームとコンビを組み、任務の遂行に当たることに……。

ちなみに原作の第3部は最終話を書き上げる前に作者が永眠なさってしまい、未完だそうです。

彼はきっと歴史に関わる人物なので、タイムパトロールも救うことはできなかったでしょうね。

「最後の一話」、読んでみたかったものです。

可愛い絵柄。でも展開はシビア

藤子・F・不二雄といえば、やはり『ドラえもん』を連想する方が多いと思います。

本作の絵柄もまさしくそれに登場しそうなキャラクターデザインで、主人公を含めた友人関係は身体の大きな男の子、背が低くて眼鏡の男の子、紅一点の女の子の4人組という定番のバランスで配置されています。

『ドラえもん』の連載開始が1969年なので、それよりも約10年ほど後に執筆されたものとなりますが、第1シーズンのアニメではドラえもんとのクロスオーバー的な展開はありませんでしたね。

あくまでも原作に忠実に描いているということでしょうか。

さて、可愛い絵柄をした登場人物ですが、展開はそれほど生易しいのではありません。

主人公たちのバディが中学生ということもあってか、基本的には作品のトーンは明るめで軽快なノリとなっていますが、処刑や事故といった要因で死亡した者たちを取り扱う作品なので、残酷な描写は避けられません。

殺人、生き埋め、拷問や火炙り、そして戦争。そういった歴史を舞台にしているため、ピクニック気分では終われません。

史実の描写や、作中でさらりと説明を加える知識の深さには驚かされるばかりでした。

私が特に印象に残ったのは「魔女狩り」という回ですね。

男の逆恨みから魔女に仕立て上げられ、拷問を受けた末に火あぶりで死刑にされる女性の話ですが、人間の仕業とは思えない残虐な手段にひどく悲しみを覚えました。

歴史上に起きた出来事の中で、タイムパトロールが助けられるのはほんの一握り。

その歯がゆさがまた見ていてぐっと来るものがありますし、必死に生きようとするもあえなく死亡した者たちの悔しい思いや、どうにか助かった際に恋人や家族と喜びを分かち合う姿は涙腺を刺激します。

面白さの決めては航時法

タイムパトロールは、航時法という以下の規則を守りながら活動しなければなりません。

  • 歴史の流れに影響のある人物を救助してはならない
  • 被救助者に物理的な力を加えてはならない
  • 同じ時代の同じ場所に何度も介入してはならない

他にも数え切れないほどの決め事があるようですが、タイムパトロールにおいて非常に厄介なものはこの3つであるように思えます。

歴史に介入することが禁じられているため、死亡することで未来の世界に影響を及ぼすことが決定している者は助けられない。

そもそも隊員は本部から許可を得た者しか助けてはならず、状況によっては大多数を見殺しにしなければなりません。

また、救助対象に直接触れてもいけませんし、同じ時間を何度もタイムリープみたいな真似もできません。あまり時空移動を頻繁に行いすぎると、時空が破壊される恐れがあるからだそうです。

なるべく歴史に介入せず、被救助者に触れず、できるだけ自然な形で生存させる方法を考え出す。

それもほぼ、一発勝負で。

なんという設定を考え出すものか。

結果が伴えばアプローチはすべて現場に一任するなんて、ベンチャー企業みたいなスタイル。中学生にはちょっと早すぎるような気もしますね。

もちろん、本部からの支給品で便利なアイテムはありますが、それをまた上手く使いこなせないのが(私が個人的に受けた印象ですが)ティーンの2人なんですね。

タイムマシンの整備は怠る、道具を使うべきタイミングで使い忘れる、挙げ句の果てには盗賊に道具を奪われてしまう始末。

何ともドジで間抜けな主人公たちですが、その辺りにもドラえもんを描いた作者らしさが伺えます。

新人隊員かつお調子者、勢いのまま突き進んでしまう並平凡はともかく、教育係のリーム・ストリームもまた空気感ばかりが一丁前で、実際は感情的になりやすく、とってもドジな子なんです。

タイムパトロールの職場って相当に人手不足なのか、それとも意外に緩い職場環境なのか。

そんなことを思ってしまうほど、二人の若さと未熟さが非常に目立ちます。

ですがやはり、その点も踏まえての持ち味と言いますか、ただでさえ条件の厳しい任務の最中にドジを踏み、主人公たちが窮地に立たされるのが視聴者としては見応えを感じるわけです。

それにドジな方が何だか愛らしさを覚えますし、一生懸命に頑張る姿がさらに強調されます。

宮野真守の新境地?

声優、宮野真守の贅沢な使い方も密かな注目ポイントです。

今作ではブヨヨンという超空間生物を演じられていますが、普段の可憐なイケボと違い、まるで喉を捻るようにして出てくる甲高い掠れた声。

クレジットに宮野さんの名前が載っていたので、どんな役をするのかと期待しながら観始めたのですが、まさかの役どころに正直初めは残念な気持ちでいっぱいでした。

それでも話が面白いので観続けていると、いつの間にかマスコット的なキャラクターと声の質がマッチしているではありませんか。

「やっぱり幅広い演技のできる人だな」と、改めて思わされました。

ブヨヨンを観ていると、以前に「ぼくらの」で石田彰さんが担当していたコエムシをふと思い出しました。

あれも意外な役どころでしたが、最近『魔法使いの嫁』でも青い鬼火の妖精とかやってましたし、石田さんの役を選ぶ基準って何なんでしょうね。

まとめ

第2シーズンは、2024年7月17日から配信が開始されます。

ここでは原作の第2部と第3部が描かれるようで、正隊員になった並平凡が新たに安川ユミ子という女の子とコンビを組むことになるらしいです。

ユミ子が相当に優秀らしいので、どのような展開になるのか楽しみですね。

予告編

第1シーズンの予告編を紹介しておきます。

配信情報


アニメ『T・Pぼん』はNetflixにて独占配信となっています。興味を持ったという方はご登録のうえご視聴いただければと思います。

原作が未完ということもあり、最後はどのように締めくくるのか、少し気になる点ではあります。

今からでも十分に間に合うので、気になった方は7月までに第1シーズンの視聴をしておくといいかもしれません。

それでは、また。

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