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ウラチャチャ皇宮!
パイヨミです。
近頃、災害級の大雪でひどい目に遭いました。
たとえスタッドレスタイヤを装着しても、あの山道には挑まなくて正解だった。
さて。今回はイ・ビョンホン主演の韓国映画『コンクリートユートピア』をご紹介したいと思います。
本作を観ていたからこそ、とっさに引き返す判断ができたのかもしれません。
災害って恐ろしい……。
それでは、どうぞ。
※この記事はネタバレを含みますので、ご注意ください。
『コンクリートユートピア』とは
原作はウェブ漫画
©︎2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CLIMAX STUDIO, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
『コンクリートユートピア』は韓国の人気ウェブ漫画:ウェブトゥーンでキム・スンニョンが連載していた『愉快ないじめ』の第2部にあたる「愉快な隣人」が原作の韓国映画です。
原作では、第1部で学校内の地下室に閉じ込められた学生たちを描き、第2部で脱出を果たした彼らが一棟だけ残ったマンションに集まるお話となっています。
監督のオム・テファはこの”マンション”というモチーフに興味を惹かれ、映画化を試みたようです。
監督:オム・テファとは?
オム・テファは2014年に第50回「百想芸術大賞」で最優秀新人監督賞にノミネートされ、本作が2016年の『消えゆく時間:帰ってきた少年』以来7年ぶりのフィルム復帰作です。
『お嬢さん』『オールド・ボーイ』で有名なパク・チャヌクの助監督を務めた経験があり、本作の公開前にはアドバイスを頂いたそうです。

弟のオム・テグは俳優をやってるそうですよ。
あらすじ
大災害によって壊滅したソウルの街。
唯一崩落を逃れた皇宮アパートには生存者が押し寄せ、不法侵入や殺傷が横行し始めると、住人たちは部外者の追放を決定。
住民代表に指名されたヨンタクは冴えない男に思えたが、彼はアパートの平穏のために行動していくうちに支配力を強め、やがて権勢を振るい始める。
ヨンタクの影響下で排他的な思考が過激さを増すなか、予期せぬ争いが勃発した時、住人たちは彼の本当の姿を目の当たりにする……。
主なキャスト
ヨンタク:イ・ビョンホン
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902号室の住人。
放火された一室の消火にあたった姿勢を買われ、住民代表に選ばれる。
部外者を追放する際にはさらなる活躍を見せて住民たちの信頼を勝ち取るが、権力を得るにつれ、内に秘めた狂気が露わになっていく。

歯を見せて笑う姿が有名で、色んな人が真似してますね。
ミンソン:パク・ソジュン
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602号室の住人。
義務警察出身の公務員ということもあり、防犯隊長を任される。
行動によって圧倒的なカリスマを示したヨンタクに心服した彼は、妻のミョンファを守るため、命がけで生存のための役目を果たす。
ミョンファ:パク・ボヨン
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602号室の住人で、ミンソンの妻。
災害後も冷静さを保ち、住民と部外者の垣根なく看護師として負傷者の面倒を見る。
ヨンタクの独裁に不満を抱き、歪さを増す住民たちの関係性に不安を覚えていく。
グメ:キム・ソニョン
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207号室の住人で、婦人会会長。
ヨンタクを住民代表に推薦した張本人であり、誰よりもルールを遵守している。
自らの利益とアパートの居住環境構築を円滑に進めるため、率先して行動していく。
ヘウォン:パク・ジフ
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903号室の住人。
マンションを離れていたが、大災害を生き延びて1人戻って来る。
地獄と化した外の世界を、まるで他人事のように暮らす住人たちに不安を覚える。
ドギュン:キム・ドユン
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809号室の住人。
ヨンタクが指揮を執る住民自治会の決定に賛同できず、非協力的な態度を貫く。
自分本位な住人たちの間で、次第に孤立していく。
作品の見どころ
人間のエゴイズムを描写
本作の魅力は、何と言ってもリアリティ。
韓国におけるマンションの価値観、それらを主張する人々の感情やエゴがリアルに描かれていました。
韓国人の約60%は集合住宅(マンション)に住み、それは単なる住居であるにも関わらず、彼らにとっては”財産の象徴”として認識されています。
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それゆえ住民たちは所有権に固執し、災害時ですら排他的な感情を描いてしまうことが当然なのだという点が、視聴者にとってはひどく恐ろしいものに感じられました。
また、監督のオム・テファがインタビューでも語っていましたが、本作の登場人物には絶対的な善や悪といった対峙がなく、それぞれの事情を持った者たちが我を通した結果として生まれる関係性を描いています。

普通の人々を描いたからこそ、感情移入しやすい作品になったんですね。
監督がリアリティを追求するあまり、当初の予定よりも製作費が膨らんで大がかりな作品になってしまったそうです。
ヨンタク役にうってつけで、なおかつチケットパワーのあるイ・ビョンホンが引き受けてくれたことが、成功の秘訣でした。
イ・ビョンホンの存在感
本作のリアリティを最大限に引き出した功績者こそ、ヨンタク役のイ・ビョンホンです。
ヨンタクは初めの方は冴えない中年男性という役どころから始まり、住民代表に選ばれてから活躍するにつれ、徐々に狂気に目覚めていくという難しいキャラクターです。
イメージのギャップを恐ろしいまでに演じ切ったあの人は、やはり俳優として超一級でした。
私は本作の全容を把握した時、「これは本来、ミンソンとミョンファの夫婦をクローズアップした物語として描かれるべき作品なのでは?」と感じました。
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異様な変化を遂げていくマンションの住人たちと、彼らに巻き込まれていくミンソン。
それを傍から見つめながら、共存の道を探るミョンファ。
彼らは一応の主役的ポジションを担っていましたが、物語のスパイスとなるべきヴィラン役のヨンタクがあまりに存在感を示し過ぎた。
視聴者は思わず彼に釘付けになり、彼の抱えている事情や動向ばかりが気になってしまう。
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主役をさしおいて悪役が人気投票の1位を獲得してしまったような、そんな違和感を覚えましたが、改めて考えると、通例すらもぶち壊してしまうほどの圧倒的な俳優レベルを示したということ。
彼は物語の主軸すら奪ってしまった。
それに気づいた時、思わず鳥肌が立ちました。
ヨンタクの正体は?
彼の本当の姿とは
ここからは本格的なネタバレになりますので、未視聴の方はお気を付けください。
さて。身を挺して消火活動を行った功績から住民代表に選出されたヨンタクでしたが、彼が強く訴え続けたのは、住人以外をマンション内から徹底的に排除することでした。
マンションは住人のものであり、不当に侵入してきた者たちは”ゴキブリ”と呼称されます。
武力行使を用い、ゴキブリの駆除を行うことで一時平和なユートピアを築き上げたヨンタクは住人たちから英雄視されますが、実を言うと彼、マンションの住人ではなかったんです。

本名はモ・セボム。タクシーの運転手です。
モ・セボムは大金を支払って皇宮アパートの902号室を本物のヨンタクから購入したつもりでした。
ですがヨンタクは不動産と結託して詐欺を行い、お金だけを奪ってまんまと契約をなしにすることに成功しました。
それに腹を立てたモ・セボムは直談判のためアパートを訪れていました。
すでに予想できたかと思いますが、モ・セボムはその場でヨンタクを殺害してしまったわけです。
殺害の直後に例の災害が起こってしまい、彼は生き抜くためにヨンタクを装って生活を続けていた。
物語の中盤以降にこの事実が明かされますが、ここからのヨンタク(モ・セボム)の変貌は本当に怖かった……。
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ヨンタクが恐ろしかった場面を3つご紹介!
ヘウォンに対する口止め
ヘウォンは外の世界を生き延びてマンションに帰宅した若い女性です。
飛び入りの参加ではありましたが、住人ということでヨンタクが他の者たちに訴えかけ、同じ条件で住めるよう取り計らいます。
問題はヘウォンの部屋が903号室で、902号室のヨンタクとお隣さんであったこと。
お隣さんの顔って、大抵は見たことがありますよね?
ヘウォンも例に漏れず、本物のヨンタクの顔を知っていたんです。
だからモ・セボムは探りを入れるため、彼女が部屋に1人でいる際に訪問したわけですが、このシーンには異様な緊迫感がありましたね。
ストレートに脅迫をするような真似はしません。あくまでも表向きはヨンタクとして接し、遠回しな台詞で口止めを要求する。
彼が部屋から去った後は、自然とため息を漏らしていました。
ドギュンの部屋を抜き打ちで視察
ドギュンはマンションのルールに対して否定的な人間でした。
そんな彼は行き場のない者たちを自室に匿い、密かに配給の品を分け与えて暮らしていましたが、それがヨンタクに知られてしまい、彼が直々に部屋を調べにやって来ます。
ここでも彼は、表向きはただ部屋を訪れた風を装いますが、明らかに室内を物色していますし、何より圧が強い……。
働きに応じて配給品の質が決められるルールのなか、高級品である蚕の缶詰を室内で発見したヨンタクは、その時点で(もっと前からかもしれませんが)確信を得たのでしょう。
あろうことかその場で缶詰めを食べ始め、ついには完食してしまう。
そして、ドギュンに忠告を与えてその場を去るような素振りを見せた彼は、隠れていたゴキブリ(非住人)の居場所を暴き出し、すかさず追放させます。
この時点でのヨンタクは、まさしく独裁者としての狂気が感じられました。
密告したヘウォンに対する仕打ち
ヘウォンはヨンタクが偽物であることをミョンファに明かし、それをきっかけに彼がヨンタクではない証拠が見つかります。
皆が代表に推した人間が、実は住人ですらなかったわけですから、反発は避けられません。
そこでヨンタクが行ったのが、まさかのヘウォン殺害でした。
それも崖の上から放り投げるという行為で、住人たちばかりか、観ている私も思わず息を呑みました。
その後非住人の反乱により、ヨンタクが本物であるかどうか構っている場合ではない展開になってしまいますが、この描写の最も恐ろしいと感じられたのは、ヘウォンがその後どうなったのか全く出てこない所です。
確実に死亡したものとは思いますが、それにしたって余韻が怖すぎました。

本物のヨンタクの口に、碁石積めるシーンもやばかった。
なぜ必死に役目を全うしたのか
ヨンタクは住人ではありませんでしたが、マンションの住人たちが安心して暮らせるために最も貢献した人物であるのは確かです。
そこがまた本作の面白いところなんですが、彼はなぜあそこまで自分を犠牲にしながらも役目を全うしたのか。
恐らくは、今度こそ俺が何とかしたかったのでしょう。
ヨンタクがまだモ・セボムとして本物のヨンタクを問い詰めにやってきた時、妻から彼の携帯電話に着信が入ります。
自宅に押しかけた借金取りに妻と娘は脅され、「こんな時にあんたは1人逃げ出したのか!」と訴える妻に向かい、モ・セボムはその件について「俺が何とかするから」と答えます。
それに対して妻は、「あんたが何とかしてくれたことなんて、今までに一度もない」と言い返します。
その直後に災害が起こり、妻と娘は瓦礫の下敷きになって死亡しているところをモ・セボムは確認し、泣き叫んでいました。
彼は大切な家族を守ることができなかった。
そんな経緯から、マンションの住民代表に選ばれた彼は住民たちを守るべき対象(家族)と捉え、今度こそは必ず俺の手で何とかしてやりたいと必死だったのでしょう。
©︎2023 LOTTE ENTERTAINMENT & CLIMAX STUDIO, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
ヨンタクは殺人犯であり、身分を偽ってマンションに住み着いた”悪”として描かれる一方、住民のために身を粉にして働き、最後まで命がけで彼らを守ろうとします。
そこには確かな善が存在し、究極的には絶対悪でも正義でもない。
それこそが、本作の描きたかった本質のように思われます。
『コンクリートユートピア』はどこで見れる?
いかがでしたか。
終始曇り空で、どんよりとした空気感が気を滅入らせること確実な本作ですが、本当に最後まで目の離せない展開なので、まだ観ていないという方は、ぜひ本編を観ていただきたいです。

何より、イ・ビョンホンがやば過ぎる。
『コンクリートユートピア』予告編
映画の予告編を紹介しておきます。
『コンクリートユートピア』配信情報
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本作が好きな人におすすめ
『スノーピアサー』
密閉された空間、緊迫感のある展開という点から、『スノーピアサー』がおすすめできると思います。
『パラサイト 半地下の家族』でも話題になったポン・ジュノ監督の作品なので、クオリティは間違いなしです。

重いテーマでもポップに描けるのが、やはり本物ですね。
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本ページの情報は2025年2月現在のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
それでは、また。