『アンチヒーロー』の原作は?考察だらけの逆転劇で最終回は高視聴率!

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潰すんだよ。パイヨミです。

こりゃ面白い。

冒頭からそんな風に感じる作品って、たまにあるんです。何となく波長が合うというか、センスを感じるというか。

逆もまた然りですけど。オープニングの演出や曲がダサいのは心配になりますが、それでも本編は面白いやつもあるから、作品選びは難しい……。

さて、今回は世間一般で正義と認識されているものに対し、あらゆる手段を尽くしながら反旗を翻すダークヒーローをご紹介します。

闇を抱えるキャラって良いですよね。
一歩間違えたらダサダサになってしまうリスクを秘めていますが。

皆さんにとってこの作品は、どちらに転びましたか?

それでは、どうぞ。

『アンチヒーローとは』

『アンチヒーロー』はTBS系の「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマで、放送期間は2024年4月14日から6月16日までとなっています。

日曜劇場といえば歴史が深く、1950年から続いているドラマ枠です。

”ドラマのTBS”と言われる局内でも選りすぐりの者たちが携わる作品ということもあり、これまでに『半沢直樹』や『ビューティフルライフ』など高視聴率ドラマを生み出してきました。

『アンチヒーロー』はその名の通り正義の道を進むヒーローではなく、たとえ犯罪の証拠が揃っている被疑者でも無罪を勝ち取ることのできる弁護士という邪道を行く主人公の姿を描いたオリジナル作品です。

本作は4人の脚本家チームによる共同脚本で、原稿を書き終えるまでに1年を費やしたそうです。

全話平均視聴率が10.8%、最終回には12.2%を記録しており、2024年4月のドラマ所長率ランキングでは堂々の一位を獲得しています。

最後の意味深なシーンから、北村匠海を主演においた続編も期待されているようです。

あらすじ
犯罪の証拠が揃っていてもそれらの信憑性を覆し、無罪を勝ち取る弁護士・明墨あきずみ正樹。
違法とも言える彼のやり方や、殺人犯すら助けるスタンスに入所したばかりの若手弁護士・赤峰あかみね柊斗は当初反発していたが、同僚の弁護士・紫ノ宮しのみや飛鳥やパラリーガルの白木しらき凛、青山憲治と共に裁判に取り組んでいくうち、明墨には大きな思惑があり、これまで無罪を勝ち取った事件の弁護はすべて、そのために行われてきたことなのだと気づく。
司法の巨大な闇と戦うべく、執念を燃やす明墨。それらすべてを白日の下に晒し、判決を覆すことはできるのか……。

主なキャスト
・明墨 正樹 : 長谷川 博己
・赤峰 柊斗 : 北村 匠海
・紫ノ宮 飛鳥 : 堀田 真由
・白木 凛 : 大島 優子
・青山 憲治 : 林 泰文
・緋山 啓太 : 岩田 剛典
・志水 裕策 : 緒形 直人
・瀬古 成美 : 神野 三鈴
・倉田 功 : 藤木 直人
・桃瀬 礼子 : 吹石 一恵
・緑川 歩佳 : 木村 佳乃
・伊達原 泰輔 : 野村 萬斎

さすがに日曜劇場だけあって、豪華メンバーを揃えています。

主演の長谷川博己さんは、日曜劇場に出演するのは7年ぶりみたいですね。

「その間何やってたんだ?」と思いつつ調べてみると、映画を撮ったり、大河ドラマやNHK連続テレビ小説の出演と忙しくしていました。

確かに明智光秀やってましたわ。

さすがの共同脚本

驚きの展開

あらゆる手段で被疑者を無罪へと導く物語。この手の作品は毎度犯人役のゲストを出演させながら1話完結で進められ、後半に差し掛かったところで本命登場というパターンが多いように思えますが、今作は一味違う。

なんせ、第1話の被疑者から壮大な計画はすでに動き始めていたのですから。

いくつかヒントは出ていたものの、初めのうちは従来の形で進められているように見せかける。

「殺人犯へ、あなたを無罪にして差し上げます。」

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引用:ドラマ『アンチヒーロー』 公式サイト

この台詞の刷り込みがあったせいか、第3話を観終えるまでは私もミスリードしていました。

”無罪を勝ち取る弁護士”というお触書で始まった今作ですが、実際のところ彼は第3話で裁判に負けている。

わざと負けるように仕向けた、というのが正確な表現ですが、今作を観始める前に私が頭の中で思い描いていたイメージは、あくまでも無罪を勝ち取る弁護士(無敵の弁護士)でした。

有罪犯でも、どうにかして無罪を勝ち取る方法を作り出す。その彼のバックボーンが徐々に語られていき、同僚との関わりの中で考え方を改めていくような類のお話かと思い込んでいました。

けれどそんな予想は大きく裏切られ、とんだ名作に出会ってしまった……。

テンポの良い流れ、悪を懲らしめる爽快さ、そして伏線の回収。

本編で請け負う裁判はすべて、12年前に起きた糸井一家殺人事件の真相に近づくために必要なステップで、徐々に繋がっていく展開が巧妙でした。

ゲストを1話限りでは終わらせず、全体の流れに関連する人物として再び登場させたのもまた、キャストの利用に無駄がなく見応えを感じました。

この作品を仕上げた脚本家たちは、さぞ公開が楽しみだったに違いない。

主人公を演じた長谷川博己さんの胡散臭いキャラはもちろん素晴らしかったものの、序盤で最も目を引いた人物は紫ノ宮飛鳥役の堀田真由さんでしたね。

『鎌倉殿の13人』でも相当に印象深い演技を見せてくれましたが、今回はまた別の角度からのアプローチが素晴らしかった。

クランクインでの撮影がいきなりバイクに乗るシーンだったらしく、かなり緊張したようですね。

インタビューでも答えていましたが、今回の役はクールな中にも情熱を秘めた格好良い女性という設定で、これまでの彼女が演じたことのないキャラクターでした。

それでも彼女は挑戦的な役を見事に演じ切り、女優としての実力を再認識させてくれました。

色による敵味方の区別

他の方の考察記事は読んでおらず、公式でアナウンスがあったかどうかも知りませんが、恐らく敵味方を区別する手段として、登場人物の名前に色を含んでいたのだと私は思います。

前情報を得ずに見始めた今作ですが(まぁ、大体そうですけど)、緋山啓太が無罪になった後くらいでようやくそのことに気づきました。

早い人は、本編を見る前から想像がついていたのかもしれません。

「アカミネ」「シノミヤ」などの名前を耳にしていた私は、Netflixの各話あらすじを眺めた際にふと違和感を覚えました。

堀田真由さんが演じる「シノミヤ」という女性弁護士の役は、てっきり四ノ宮とか篠宮とかいう字を書くのかと思っていたら、まさかの”紫ノ宮”。

アカミネくんは分かりやすく”赤”の文字が使われており、シノミヤさんに”紫”を使用していることから全キャストの名前をHPで調べてみると、やはり色を含んだ人物が何人もいる。

明墨、赤峰、紫ノ宮、白木、青山。

事務所の全員に色付きが共通していることから、もしや色のついた人物は主人公の味方?

無罪になった殺人犯の緋山(緋色)は明墨の手駒となり、志水裕策(水色)は冤罪の死刑囚で今作の救うべき存在。桃瀬礼子(桃色)は彼が冤罪であると気づき、明墨にその件を託した検事。

途中時点でほぼ確信を持っていた私は、残り2話まで来たところで緑川歩佳(緑色)がどのような関わりを見せてくるのかと期待していましたが、伊達原と瀬古が立てたフラグをきっちり回収する形で明墨が逮捕された。

そして、白木凛の裏切り発覚。

あれ、色付きはみんな仲間じゃないの?

不安に思いながら続けて観ていくと、伊達原が逮捕された明墨の担当検事を買って出た。

繋がりましたね。

これはきっと、伊達原をおびき出すための作戦。

法廷という公の場で逃げようのない証拠を示し、12年前の事件に終止符を打つつもりだと私は予想しました。

その証拠は、ボツリヌストキシンかな?

逮捕される前に明墨が百瀬の墓の前で会っていたのは、やっぱり緑川歩佳。

白木は二重スパイで、明墨がわざと緋山が殺人犯である証拠を持たせて潜り込ませた。

ピタリ的中したのは爽快でした。

意外だったのは桃瀬、明墨、緑川が同期で初めから仲間だったこと。富田正一郎の裁判の頃に彼女を仲間に引き込んだと思っていたので、これは嬉しい誤算。

ようやく全色のキャストが揃い、念願の志水の冤罪再申請&ラスボス伊達原を成敗。

序盤で桃瀬礼子の墓石が被害者側の誰かだと錯覚させた演出や、緋山が12年前の事件の証拠となる映像を盗撮していたという程よい関わり方は素晴らしい設定でした。

また、最後に決定的な証拠となった書類が偽造したものであったネタバラシも、アンチヒーローの名に相応しい悪どい勝ち方。

見事なシナリオでした。

ドラマとしての魅力

今作は意外性のある展開が非常に面白いと感じましたが、作品の魅力はそれだけに留まらず、それぞれの登場人物の描き方や関わり方の秀逸さにもあると思います。

明墨正樹というカリスマ

怪しげな風貌に、厭らしい話し方。

明墨正樹は紛れもないアンチヒーローでありながら、観念的には正義の味方でした。

司法を取り扱うドラマは今までにいくつも視聴してきましたが、これほどまで冤罪の被疑者に感情移入できた作品はなかった。

その要因の一つは、主人公である明墨の事件に対する執念によるものだと思います。

検察や警察、政治家、果ては裁判官までもが裏で不正を行い、起訴された被疑者が無罪になる確率はほぼ0%。それが社会の現実。

それゆえ不可能を可能にする明墨の手腕は、一筋縄ではいかない。

不当な行いで地位や権力を保持する連中を明墨は作中で数多く断罪してきましたが、彼自身もまた信念を貫くためには手段を選ばず、裁判に有利な状況を作り出している。

明墨は自分に似ていると伊達原が話していたのは、この点にあるのでしょう。

誰かを救うための悪事は、正義か? 悪か?

正義と悪を明確に区別することは困難であり、観測する側面によって捉え方は変わる。

しかしながら、この『アンチヒーロー』という作品が説得力を持つ理由は、明墨が最後にきちんと報いを受けたことにあるのではないか。

「共に、地獄に落ちましょう」

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引用:ドラマ『アンチヒーロー』「10. Last Episode -正義-」

悪を退治するため、自らも悪事を働いてきた。決してただでは済まない。上記の台詞と共に明墨が身を持ってそれを体現したことで、すべてのアンチを黙らせたと言えましょう。

ドラマチックな関係性

冤罪による死刑囚を救う。

事件にさほど関わりのない弁護士たちがこれを行ったところで、普通に感動する話で終わってしまうかと思います。

物語は因縁があるからこそ、燃えるもの。

過去に志水の自白を強要した明墨に始まり、証拠映像の隠滅を行ったのは紫ノ宮飛鳥の父親である倉田功。

事件の冤罪にいち早く気付いた桃瀬は青山の大学の後輩で、事件と直接の関わりは持たないものの、赤峰は暴行事件の冤罪を救えなかった過去を持つ。

この多重構造こそ、今作のドラマ性を高める理由だと思います。

多くの人間が志水裕策の冤罪事件と関わりを持っているものの、その関わり方が絶妙な塩梅で、わざとらしくない。

加えて伊達原を含め、不正を行った者は誰も初めから志水裕策を貶めようとは思っていなかった。

それがまたこの作品の切ないところであり、正義と悪の境目の危うさを描いたテーマにもマッチしていると感じました。

ダークホースの赤峰くん

赤峰柊斗の取り扱いもまた、この作品の質を爆上げしてくれました。

新人の弁護士で、物語の序盤から事務所に入ったばかりの赤峰くん。この手の登場人物は通常ならば語り部に近い立場を取るように思います。

明墨がいかに頭の切れる人物であるかを測る尺度として用いられ、凡庸だけれど正義感だけは人一倍といったキャラクターが出来上がります。

しかしながらこの赤峰くん、序盤から思いのほか才覚を発揮していきました。

正義感という点がクローズアップされると堅物な人物になりがちですが、赤峰くんの発想は意外にも柔軟で、違法な手段を用いてでも被疑者を救おうとする明墨のアンチな側面を第3話時点ではすでに受け入れ、さらには彼の思考の先を読み解くまでに成長していきます。

赤峰くんの存在のおかげで志水裕策の冤罪事件を解決に導いたと言っても過言ではなく、語り部として終わるものと予想された彼は、最終的に社会に対するアンチヒーローの必要性を訴え、明墨の後釜の座を射止めるまでになるのです。

徐々にダークな才能を開花させていく彼の姿はさながら、『BLACK LAGOON』に登場するロックのように魅力的でした。

そういえば、ロックの声優を担当していた浪川大輔さんも今作に出演していましたね。

奇妙な偶然というか、夢の共演というか。

他にも関智一さん、諸星すみれさん、声の出演で中井和哉さん、平田広明さんなどが出演していましたし、何か声優界と縁があったんでしょうか。

まぁ、こちらとしては嬉しい限りでしたが。

まとめ

いかがでしたか。

妙に聞き覚えのある壮大な背景音楽だと思ったら、音楽にあの梶浦由記さんが参加していたとは。

ドラマでメインテーマを担当するのは初めてのようです。

色々な要素が絡み合って、名作は生まれるものですね。

予告編

予告編を紹介しておきます。

配信情報

2024年9月現在、ドラマ『アンチヒーロー』は上記2つのサブスクで見放題が可能なようです。

興味を持った方はぜひご登録してみてくださいね。

それでは、また。

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