ドラマ『おいハンサム‼︎』の原作は? 続編に次いで劇場版で完結するのか。

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トゥリャトゥリャトゥリャ……。
パイヨミです。

先日、Netflixのサムネを漁っていると(よくやるんです)、何やら不思議なネーミングのドラマに目が止まりました。

自動再生された切り抜きは、吉田鋼太郎が娘の服装に対して露出度が高いと注意する場面。

おもむろに寝巻きを脱いで下着と腹巻き姿になった父は、腹巻きを胸の辺りまで引っ張り上げ、「今のお前は、こんなことになってるんだよ!」とブチギレた。

洗濯物を畳みながら観るには”ちょうどいいドラマ”と思った私は、そのまま本編を見始めます。

まさか、これほどまでに面白いとは……。

チープさこそ味

ふと興味を持ち、視聴し始めたドラマ。

『おいハンサム‼︎』というタイトルから、娘の彼氏たち(ハンサムボーイたち)に向かって頑固親父が一言物申すみたいな作品かと予想しましたが、全然違いました。

いつの時代の作品かも、人気作なのかも知らずに観ていましたが、何だか面白いじゃないかと思いネットで調べると、意外にも放送時期は2年前とそれほど前じゃない。

第1シーズンが2022年1月8日~2月26日、第2シーズンが2024年4月6日~5月25日。

えっ、つい最近かよ……。

今まさに劇場版を上映していると知った時は、「あぁ、時代に取り残されてるなぁ」なんて思う始末でした。

今作は「土ドラ」枠で放送された深夜ドラマ。

伊藤理佐の漫画『おいピータン!!』を主軸に、『渡る世間はオヤジばかり』『チューネン娘。』『あさって朝子さん』など各作品の内容を織り交ぜたオリジナルの物語となっているようです。

あらすじ
何かと融通が利かない父、伊藤源太郎と、何事にも動じない母、千鶴には3人の成人した娘がいました。
三姉妹はそれぞれに独立した生活を送っていましたが、揃って男を見る目がない。
娘たちの先行きが不安な源太郎は、自らの経験によって気づいた人生の教えを説いていきます。

室内の撮影が多く、スタジオ感満載で”ザ・低予算ドラマ”といった風格を発揮している今作ですが、この予算のなさそうな感じがまた、ドラマの雰囲気と非常にマッチしていました。

「じゃあ、つまらないってこと?」

そう思った方、安心してください。

低予算には、低予算のやり方というものがある。

そこには確かなシナリオと演技力を伴った俳優陣が必要不可欠ですが、やはり重要なのはテーマが”日常”ということでしょう。

SFやファンタジー作品が低予算だと、やはり見栄えの問題で単なるB級映画に成り下がってしまいますが、日常を描くホームドラマに豪華絢爛なセットは必要ないんです。

むしろ、チープな舞台にシュールな笑いを盛り込んだ芝居こそ、我が国の誇るドラマのあり方だと思います。

物語が懐古主義を重んじる伊藤源太郎を主人公としている点や、日常の何気ない気づきによって成立している教訓をテーマにしている点もまた、安上がりな現場でこそ味を見せると言えましょう。

共感と没入

今作の見どころは、共感と没入です。

日常は気づきに満ちている。

「こんな人いるよね」とか、「こういうことってあるよね」とか、誰もが日々の中で経験するであろう問題が、作中に山ほど盛り込まれています。

「そんなこと、今まで気にしたこともなかった」と時には思うこともありますが、それも含めて気づきなんだと思います。

例えば、月曜日から始まるカレンダーの手帳じゃないと何か気持ち悪い、冷蔵庫の食材は綺麗に使い切りたい、目玉焼きの焼き加減は? 納豆のトッピング? おでんを頼む順番?

人それぞれのこだわりを見せられると、部分的に共感する一方で、「自分はこうだなぁ」などと自然に反応してしまう。

これが没入です。まんまと罠にハマってますよ。

「目上の人と同席する飲食店では、熱くて食べるのに時間がかかるものは選んでくれるなよ」と心の内で願う上司の姿があり、過去に鍋焼きうどんを頼んでしまった私は大いに共感しました。

『おいハンサム‼』の由来

今作の主人公である伊藤源太郎は、”融通の利かない頑固おやじ”という触れ込みで紹介されますが、実のところ彼の魅力はそれだけに留まらない。

頑固おやじは、ホームドラマでは昔からよく見られるキャラだと思います。一般的には高圧的で堅物、自身の発言は曲げないなどの特徴があるほか、どこか時代に取り残され、周囲から疎まれるような存在でした。

しかしながら、源太郎は勤め先の会社で部下に慕われ、怖がられ、尊敬されている。

単にうざいと思われるだけの上司ではなく、およそ見習うべき人物として登場している。これは源太郎という男が時代に逆行するばかりでなく、真に普遍的な価値観を見出そうと学び続けているからこそ起こりうる現象かと思います。

これは歴代の頑固おやじと大きく異なる点であり、このドラマを支えている根っこの部分とも言えるでしょう。

もちろん、だからといって時代に遅れまいとハイカラを気取るだけの男でもない。

ペットボトルから注いだだけのウーロン茶を飲食店が有料で販売することを嘆き、寝巻き姿でゴルフのドライバーを片手に娘の彼氏に制裁を加えに行こうとするような、昭和な頑固おやじとしての存在感も発揮しています。

娘たちを想う気持ちも人一倍強く、三女が修学旅行のお土産でくれた腹巻きをずっと大事に使い続けていたり、リモート会議で家族全員を招集し、彼女らの今後の人生に役立つようにと自身が導き出した教訓を演説します。(ほんとは、ただ話したいだけかも)

それをいい顔(知った風な顔)で語る彼のことを妻が「いい顔して何言ってんの」と言ったことをきっかけに、娘たちがいい顔=ハンサムと捉え、父を揶揄する時に使ったことが『おいハンサム‼』のタイトルの由来です。

源太郎は名言が多いんですよ。

その中でも私が特に気に入っているのは、冷蔵庫に残ったネギの話から学んだ教訓ですね。

「人生は冷蔵庫のネギの切れ端と同じだ。ピッタリ使い切ることなんてできない。やり残しを恐れずに、前向きに生きろ!やり残しのある人生こそ、素晴らしい人生だ」

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引用:ドラマ『おいハンサム!!』Season1 第3話

定年退職した上司がこれまでコツコツ集めていたデータが未使用のまま処分されそうになるのを見た源太郎は、時間には限りがあり、思い通りに使い切れないことを嘆く。

それを聞いた妻の千鶴は、使い切ろうとすることに囚われるのは本末転倒であると説いた。

格好をつけるな。ただ前を向いて今を生きろ。たとえ途中で倒れても、それは懸命に生きた証だ。

そんな風に言われた気がして、私もなぜか心に刺さるものがありました。

愛すべきダメ男たち

娘の相手役たちもまた、この作品の魅力です。

この世の中に、欠点のない人物などいないと思いますが、それにしたってひどい。

1.長女 伊藤由香(木南晴夏)

恋愛関係が豊富ですが、わざとダメ男を選びに行ってる節があります。

不倫であることを隠していた男、売れないシンガーソングライター。料理上手のおデブなんてのもいましたが、そいつは相手に料理を振る舞う自分に酔ってるだけの男でした。

時々好条件の男にも出会いますが、そんな時に限って本人がビビって逃げ出します。気楽でいられる間柄が良いのか、お気楽すぎる連中が磁石のように引かれてきます。

見てくれは良くないですが、彼女は元彼とよりを戻すのが一番良いように思います。それが叶うのは散々駄目な男を経験してからになりそうですが。


2.次女 伊藤里香(佐久間由衣)

第1シーズンでの家族との関わりには途中参加ながら、最も狂ってる(存在感を発揮してくれた)のがこの次女でした。

既婚者である彼女は、前半は大阪にいて旦那と二人でいるところしか描かれませんが、その旦那がまたクソ野郎で見ているこっちもストレスが溜まります。

朝食にご飯を用意すれば「パンでいいよ」と口にしたり、食事がいらないと言って会社に行ったわりには帰宅後に突然ご飯を要求され、パスタを出すと「昼もパスタだったんだけど」と言いだす。

タンメンが食べたいと言われて作ってあげた際には、「タンメンだってば!」と言って理由もわからず残して去っていく。

これに関しては後で原因が分かりますが、食事シーンだけでここまでウザい奴を作れる作者がすごい。

また、この男は不倫もしていて、うっかり妻のことを不倫相手の名前で呼びそうになります。

相手と別れ話をしに行く時には、二人で喫茶店の珈琲ではなく、コーヒーゼリーを食べてきたくだりがむかつくけど面白かった。

「真剣な話をする時には珈琲で済ます、コーヒーゼリーを選んだりはしない!」と次女がキレるのはごもっともですが、次女よ、このエピソードはベストシーンとして私の中に刻まれた。


3.三女 伊藤美香(武田玲奈)

彼氏は漫画家志望。

志望と言うだけあって貧乏で、貸した金は返さず、すぐにご飯を奢ってもらおうとするし、裸で担々麺を食べるという奇っ怪な姿もまた気持ち悪い。

おまけに描いてる漫画は下手くそで、お話の整合性も取れていない始末。

彼は馬鹿な分、愛すべき要素は多いように思われます。

途中から婚約寸前までのお付き合いとなる男性も現れますが、そいつはかなりヤバかった。

一言では表しづらい性質の男ですが、あえて表現するなら、紳士の皮を被った変態でしょうか。

スマートな男前だが、彼女に対する要求が多く、自分本位。

「彼女には、自分の斜め後ろを歩いてほしいんだ」
「君には淡い色よりも、黒か茶色の服が似合う」
「君の好きなところは、特別じゃないところだよ」

数え始めればきりがないほど。迷言を残す名物キャラとでも言えば良いのか、シーズン1の男性陣ベストキャラに任命したいほどの気持ち悪さでした。

まとめ

『おいハンサム!!』を総括すると、古き良き時代の日本ドラマを継承した良いコンテンツでした。

誰にでもあったはずの、当たり前だった風景。
いつの間にか忘れてしまった、家族とのかけがえのない時間。
それらを大事に紡いできた伊藤家という一つの家族を通し、少しばかりの郷愁と、明日への活力をくれる作品。

……なんて。ハンサムな顔で何言ってんのやら。

洗濯物もすっかり畳み終わったので、この辺で。

予告編

予告編を紹介しておきます。

配信情報

ドラマ『おいハンサム!!』は上記以外のサブスクでも配信されているので、詳しくはこちらをご覧ください。

合わせて、第2シーズン&映画化の情報も載せておきます。
詳しくは公式ポータルサイトへ。

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